先日、久しぶりに石垣島を離れ、東京に行ってきた。
テレビの生出演のお話を頂いたからだ。テレビといっても地上波ではなくインターネットTV。AbemaTVだ。
今回出演したのは深夜1時、生放送の『月曜THE Night』という番組。
出演する番組の内容は大麻の是非を賛成派、反対派に分かれて、それぞれの意見を出し合う、といった内容。私が生放送に出演するのが2016年の選挙に出馬した以来なので、番組タイトルにも『高樹沙耶登場!』なんてついているのを後で知り、ビックリしたというか恐縮してしまった。どうやら私が出演する事自体が今回の番組の売りになっていたらしい…。
例の逮捕、釈放以降、ワイドショーには何度か出演したが、出演を前後してその度毎に出るネットニュース内のコメントに書かれる誹謗中傷が頭にこびりつき離れず、公の場に出る度にその反応を思いだすと身体が震え心臓がドキドキしてしまっていた。名誉挽回したいけど怖い…。出演を受ける度に番組に出た事を後悔したりもした。
しかし、今回は逮捕後にこれまで出演したワイドーショーとは少し様子が違っていた。
もし、今回も同じような趣旨で『反省をしてるのか!』とかプライベートを問い詰められる内容なら断ろうと思っていた。
が、この番組は『大麻を中立的な立場でお互いに意見を言い合う』という趣旨の番組だからと説明されて、出演をする事にした。それに生放送だし、いざとなれば好きなこと言ってしまえばいいのだと開き直り、出演を承諾し、本番へと向かった。
番組では始めに久しぶりに生放送に出演する私にいくつかの質問をしてその後、視聴者から『大麻合法化に賛成か、反対か』のアンケートをとった。
アンケートの結果が出る前に司会を務めるスピードワゴンさんから「どれぐらいの人が賛成だと思いますか?」と聞かれ、その時の私は不覚にも自信なさげに35%ぐらいかなと言ってしまった。
かつては強気だった私も逮捕後の大麻の偏見の強すぎる日本で肩身の狭い思いをしていた時期が長すぎたのか、負け犬根性が出てしまッタ。
で。結果はなんと59.7%、ほぼ6割の人が賛成に投じてくれた。インターネット番組の深夜枠、ネットニュースで世界の大麻事情を知ってる人だけが見てたんでしょ!と言われればそうかもしれないけれど、追い風を感じる瞬間だった。
次に同じような事を聞かれたら未来への希望を込めて『70%が賛成っ!』ぐらいに元気に言うようにしよう。
それから賛成派(宮台先生と私)、反対派(船山先生とフィフィさん)が登場してそれぞれの大麻に対する意見を述べる場にと番組は移って行く。
今回の私は番組に出る際に自分自身のテーマとして、『賛成反対、良い悪いを超えてユナイトする!』って事を考えていました。
議論で相手を打ち負かしても、それで法律が変わるわけでも無いし、相手をその場でコテンパンに論破しても、その後の相手の意見を変える事は難しい。私だって何を言われてもこの主張だけは絶対に変える気は無い。ならば、できる限り対立するはずの相手の意見も尊重し、自分の考えも相手にわかりやすく伝える。そして、最後の判断は視聴者それぞれに決めてもらえばイイ。解禁派の人達にはダメ出しされるかもしれないが、8年間、必死で大麻の法改正運動をして、時に調子に乗って誰かを論破した気になったり、時には逮捕されてホントに吊し上げられたりしてきた私の考えたなりのスタンスだった。そんな気持ちでこの討論の時間に臨んでいきました。
番組は賛成派、反対派がそれぞれの医療大麻に対するスタンスを一人ずつ述べるトコから始まった。その後、双方の主張をお互いにぶつけ合う議論へと移っていく。
私の思い込みかもしれないが、反対派で出演して頂いたフィフィさんはエジプト出身でアメリカに生活していた経験があることもあって、本気で『絶対、ダメーっ!』って思っているのでは無いのカモって、感じていました。番組の中の一人の演者として子を持つ母親としてのスタンスを番組を成り立たせる為にキチンと演じているのだとも思えた。多くの番組で引っ張りダコなのもわかる気がした。実はとても賢い女性なんだと感じてしまった。
もう一方の船山先生は流石にお年をおめしになりすぎてるのか、一度『大麻は悪だっ!』って刷り込まれた情報を簡単には書き換えられなくなっているご様子。アメリカのディスペンサリー(医療大麻を販売する場所)がさもキャバクラみたいに女性が隣について大麻を販売しているとか、訴訟国家のアメリカなら当たり前な気がする(医療大麻の販売に際に使われる)誓約書のプリントをさも『こうやって止む無く合法化してるゾっ』って出されたりしたが、物腰の優しそうなフクスケ顔のせいもあってか、あまり説得力が無いと感じる発言が多かった。
一緒に賛成派の論客で出演した宮台真司先生なんかはCM時の休憩に『ダメだこりゃぁ、議論になんない』ようなことを、私の隣でぼそりとつぶやいていたりしてた。
思わず「まぁまぁ、向こうも同じ大学教授なんですから、そんな事言わずにがんばりましょ」って声をかけそうになったが、番組の途中なので止めといた。
でも、船山先生も賛成派の論客、宮台先生の猛攻撃もあり、番組の最後らへんには『医療大麻って言葉がダメなんだ、大麻療法だったら許せる』みたいな不思議な発言もあって、実は何となく世界の変化も理解し始めてるのかな?とも思えたが…。結果は番組をご覧になった皆さんに委ねます。
放送後の私のSNSにも色んなご意見を頂きました。もちろん私自身も番組終了後、準備した言葉を言えなかったり、あー言えば良かったのに、こー言いかえせば、と反省する事は沢山ありましたが、これまで一方的に大麻を犯罪扱いしかしてこなかった放送がネットメディアとはいえ、どちらの意見も聞いてみよう制作した画期的な番組だったと思う。
これまでを思えば、これからだと思って頂ければ、幸いです。
収録後、スタジオから出ていく間際、船山先生に「大麻に対する意見はどうかと思うが、個人的には高樹さんの生き方は素敵だなーと思ってます」などと声をかけられた。思わず「先生こそ、70年前の根拠の無い大麻の話を振りまいていたら、生徒に愛想つかされますよー。老後の生き方は個人的には安泰だと思いますが♡」と花の里の女将バリに言い返しそうになったが好々爺のフクスケ顔の先生を見て「ありがとうございます。また、よろしくお願いしますぅ」と当たり障りの無い返答をしておいた。『ゆないと。ゆないと。』と心でつぶやきながら…。
同じく反対派のフィフィさんともスタジオを出て、少し立ち話をしたが、流石、彼女はデキる!「今度私のインターネットサイトの番組に出てね」とアドレス交換をしてきました。
番組自体も中立と言いながら随分と大麻、特に医療大麻に理解をしようとする番組構成をしてくれていたように思う。スピードワゴンさん、とりわけ小沢さんは視聴者には分かりにくいと思えた各出演者の難しい論説をできるだけ、分かりやすく、しかも面白く、理解してもらえるようにフォローして貰えたと感じた。
そして、これは裏話なのですが、実は本番の1週間前に反対派で出演予定だった文化人コメンテーターの方が出演をドタキャンをしてきた。一度、番組出演の打ち合わせを終えたと聞いていたのに…。ドタキャン前の共演を知らされた直後、その方のブログを見たら「大麻使用者は文化レベルの低い層がほとんどで、知識のある人が利用しているわけではありません。これはどこの国でも同じです」といった内容の事を書かれていた。私から見ればほとんど冗談みたいな主張だった。『かつて徹底的に禁止していたアメリカではウーピー・ゴールドバーグにレディガガ、更にはスティーブ・ジョブズ、歴代大統領までもが大麻の使用を認めたり、大麻に人生を救われた等の発言をしてるのに』なんて反論を考えていたが、突然のドタキャンとなった。きっと、賢い方なので昨今の世界の大麻のニュースを見て、ここで反対したら今後の芸能活動に支障が出ると判断したのだろう。彼女だって『大麻は文化レベルの低い人の麻薬』って自分の意見を簡単には変えられないかもしれないが、少なくとも『私は反対だけど、好きな人は好きにすれば、私は関わりたくない』に変わってきたから今回の出演キャンセルになったのだろう。
是非その辺り聞いてみたかったが、実はこれこそがユナイトなのかなと思えてきた。
かつて、TV等の大きなメディアで大麻解禁に対して肯定的な意見を述べると干されたり、ゴシップ誌に麻薬中毒者と総スカンをくらった様に、今は大麻の解禁に賛成しても反対してもどちらからも責められて、扱いにくい問題になってきた。賛成しても、反対についても誰も得しない、やっと少しずつではあるが、無知の壁がユナイトして来たと思う。ずっと同じ事を言い続けてきた私にはこのドタキャンと今回の『月曜The NIGHT』こそが時間はかかったが変化の始まりのように感じた。
人の心も、世界だって一遍には変わってくれないが、そうやって少しづつ壁を溶かしていきながらいつの間にか変わっていっていくんだろう。
私はこれからもこの様な場に呼ばれるたびに『大麻、大麻で、参った、参った』と手を変え、品を変え、色んな事を話す事になると思うが、それを許して発言の場を与えてくれたAbemaTVと番組スタッフには心からお礼を申し上げたい。ビビっている私の発言はまだまだ物足りないかもしれないが、この場を創って頂いた皆様に感謝です。
そーいえば2日後AbemaTVのAbema prime という情報番組でも大麻の特集が放送された。その番組も日本もそろそろ検討した方が良いのでは?という匂いを漂わせていた気がするのは私だからだろうか?
実は今回の旅には続きあって、収録を終えた後、少し仮眠をとり、その日のうちに大阪へ
大阪ロフトプラスワンというイベント会場で石丸元章さんと、ラッパーの孫ゴング、カメラマンの久保さんと不思議な匂いのする方達と大麻論争をしてきました。
こちらはアンダーグラウンドの道先案内人、石丸さんの絶妙な進行に出演者が乗せられ、トークライブとしては異様な盛り上がりを見せ、とてもカメラの前では話せないぶっ飛んだお話が繰り広げられました。間も無くトカナにて連載のページでアップしますので楽しみにしていて下さい。
日本で大麻草が有効利用される日を夢見て沙耶の旅はまだまだ続きます!
0コメント